ところで、日本では昨年一世風靡した
「アナと雪の女王」の姉エルサの唄にあった「ありのまま」現象。
今回、エルサの「ありのまま」の姿について考えると、
山にこもったエルサは自我の「ありのまま」・・・エゴ・アイデンティティです。
エンディングのエルサは自己の「ありのまま」・・・アイデンティティです。
その後、(問題だなぁ〜と感じたのは)
「自分らしさ」とか「ありのまま」という単語を安易に使い、
煽るようなブログやセミナー、カウンセラーがあったこと。
以前の「個性を大切に」や「自分に素直に」という一辺倒の指導と同様で、
何かその方法を具体的に示しているのかと言えば、・・・・?です。
教示・指導できないために、
「自分らしさ」「ありのまま」「個性を大切に」「自分に素直に」などは、
ややもすれば、「エゴイズム」を助長しているようなものです。
家庭教育、学校教育、会社での育成も同様でしょう。
「自分らしさ」「ありのまま」「個性を大切に」「自分に素直に」の前の
前提条件を教示していないからです。
「ありのまま」と「あるがまま」の一元化
辞書には、
「ありのまま」と「あるがまま」が混同されている場合もあります。
しかし、漢字にしてしまうと意味が違ってきます。
「ありのまま」・・・「有りのまま」・・・所有の概念(他動詞)
「あるがまま」・・・「在るがまま」・・・存在の概念(自動詞)
※日本語の場合、「ある」を平仮名で使用されることが多々ありますので、あいまいになっているのが現状です。
自分自身を見た時に、「あり(有り)のまま」は、
現時点での備えている能力や経験値、価値観などのソフト面の要素、
「ある(在る)がまま」は、現時点での身体や表情、態度、行動などの
ハード面の要素、と捉えることができると考えます。
「人として生きる」というのは、
「ありのまま」と「あるがまま」が両立しなければならず、
「ありのまま」がソフトで、「あるがまま」がハードと考えると、
「ありのまま」が内生であり、「あるがまま」は外生です。
となると、
「あり(有り)のまま」と「ある(在る)がまま」は、一心同体です。
誤解を招く「ありのままでいいのよ!」
さきほど
「現時点」というコトバを使ったのは、常に変化しているからです。
その変化度合いは人によって違いますが、
「ありのまま」がバージョンアップ、ようは成長・向上することで
「あるがまま」も成長・向上の状態を発することが可能になります。
これは、7つの習慣にある「インサイドアウト」の考え方です。
そして、
「成長のパラドックス(成長4%=ゼロ)」の概念に関わってきます。
現状維持は、衰退しているというものですが・・・
例えば、
自分に自信がない、将来に不安がある、などの悩んでいる人に対して、
家族や友人、カウンセラーから、
「大丈夫、大丈夫。あなたは今のままでいいのよ!」
と言われて、「そっかぁ。今のままでいいんだぁ~」
と思い込んで何もしなければ、もしかして自分を「宝の持ち腐れ」
状態にしている可能性だってあるのです。
これを心理用語での「システム浄化作用」と言うのですが、
自分の中にある不安・不満などを、周囲の声で除去してしまう、
(正確には、除去されているわけではなく閉じ込めただけ)
これが「成長のパラドックス」につながってしまう傾向もあるのです。
不安や不満があるということは、
成長や向上を望んでいる自分があるということです。
それを閉ざしているのが、「システム浄化作用」かもしれません。
自我のままの「ありのまま」は自己満足に、そして
「あるがまま」は「わがまま」になる傾向が強いのです。
それを回避するためには、
「ありのまま」は他者と共存できる「あるがまま」を自らの意志でおき、
その中でセルフ・コントロール(自己制御)することが必要であるといえます。
バックグラウンドあっての「ありのままとあるがまま」
富士山の詩を私は永いあひだ書いてきたやうに思ふが、
もともと富士山などといふものは
天を背景にしなければ存在しない。
「あるがまま」とは、一人では成り立ちません。
「ありのまま」とは、孤独では意味を成しません。
「あるがまま」と「ありのまま」を一元化させた自己は、
家族や会社・学校、友人やコミュニティなどの社会の中で
存在しているから意味があります。
「あるがまま」「ありのまま」「自分らしさ」「個性」とは、
全体の中の一であることで成立することです。
ただ、どこでもいいということではなく、
「あるがまま」「ありのまま」「自分らしさ」「個性」を活かす
環境(ポジション)が重要であることを、
草野心平氏の箴言に込められているような気がします。
富士山は、今の環境だからこそ
富士山という「あるがまま」と「ありのまま」が世界的に認められているのであって、
もし、富士山がヒマラヤ山脈の麓や阿蘇のような高い外輪山があったら・・・
とイメージすると、それは(世界遺産になった)富士山ではなくなるのです。
人も同様です。
バックグラウンド(背景)があっての「あるがまま」と「ありのまま」の
自分を見つけることが重要です。
見つけるというより、活かすということでしょう。
そのために、全人的統制能力(社会の中で生きる力)は必要なのです。
この能力は「自分の人生を歩む」ためにも必要だということになります。
自分の運命は自分で作っていけるものだと
いうことをなかなか悟らないものである。
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