前回「R-STP-MMを理解する」からの続きです。MM=マーケティング・ミックスについて共有しましょう。
MM(マーケティング・ミックス)
マーケティングにおける戦略戦術(政策)である重要なプロセスです。
マーケティング・ミックスは、主に
「4P」(供給側視点の戦略)および
「4C」(需要側視点の戦略)です。
マーケティングを行なう際、シンプルなフレームワークとして
多くの方が活用しています。
マーケティング・ミックス「4P」(供給者側視点)
「4P」の提唱者
エドモンド・ジェローム・マッカーシー氏(Edmund Jerome McCarthy)。
米国のマーケティング学者で、1960年に提唱しています。
未だに使われている重要なプロセスであるということです。
実は、コトラー氏の著書によると、この「4P」の基となったのは、リチャード・クルウェット氏(ノースウェスタン大学経営大学院教授)の「3P1D」であるとされています。「D」はDistribution(流通)であり、後にマッカーシーが、流通を場所(Place)に替え、「4P」を型作りました。
友人であるコトラー氏は、彼の「4P」を取り入れ、R−STP−MMを実践の場で活用していったということです。
(1)Product(商品・サービス)=製品戦略
※顧客の求めているモノ・コトは何か?
※顧客は何を解決したいのか?
※どんな体験・感覚を味わうことができるのか?
※他(製品)との違いは何か?
(2)Price(価格・プライシング)=価格戦略
※プロダクトの価値と価格のバランスは?
※コストと収益のバランスは?
※どのように価格を決定していくのか?他社との比較?
※参入タイミングと価格決定(割引きなど)は?
(3)Place(流通・チャネル)=流通戦略
※顧客は製品をどこで入手できるのか?
※どのような経路で渡すことが出来るのか?
※業者との折衝、サプライヤーとの関係は?
※商圏(販売領域)はどうするのか?
※返品等はどうするのか?
(4)Promotion(販促・プロモーション)=販促戦略
※顧客に知ってもらうための手段は何か?
※どのようにメッセージ(宣伝)するのか?
※宣伝する時期、時間などのタイミングは?
※コストはどのくらいかけられる(準備できる)のか?
さらに、
サービス系業界の場合は「4P」とは別に
次の「3P」を加え、「7P」になります。
どれも必要な要素ではあるので、把握しておくことをおススメします。
プラス「3P」※サービス・マーケティング
(5)Personal(従業員・関係者・協力会社等)
関係者の管理・教育(スキル・能力開発)、従業員満足度等
関係者へのリサーチ、意見等を確認する必要もある
現場の声として改善や改革を行なうための要素
(6)Process(業務プロセス・販売プロセス)
プロセスの簡易化、明瞭化など
(7)Physical Evidence(物的証拠、安心・安全保障)
証明書、画像・動画、文書化、契約書など
マーケティングミックスはフレームワークの一つです。
実践する上で、順番は特に気にする必要はありません。
ただ考えなければならないのは、
それぞれの「バランス」「一貫性」「相乗効果」。
それらを踏まえ、マネジメントする必要はあります。
企業の場合、複数の部署で
これらを計画していくことになりますから、
バランスと一貫性がなければ、
どんなに良いプロダクトだとしても、
マーケットに受け入れられることはないでしょう。
また、どんなにバランスが良くても、
最高のパフォーマンスができなければ、
相乗効果は生まれません。
「MM=マーケティング・ミックス」の「4P」は、
全体的なものではなく、業態・事情等を踏まえ、
効果的か適切かどうか、勘案しながら活用します。
◇「4P」に対する「4C」を忘れてはいけない
マーケティングミックスの「4P」は、
供給側、いわゆる売り手側の視点であると考えられているため、
需要側、いわゆる買い手側の視点で考えていくフレームワークとして
「4C」が提唱されました。
マーケティング・ミックス「4C」(需要者側視点)
「4C」の提唱者
ロバート・ローターボ-ン氏(Robert F.Lauterborn)。
1993年に提唱されています。
彼の提唱している「IMC(インテグレート・マーケティング・コミュニケーション)」に関する要素として「4C」があります。
Customer_value(顧客価値) ←−−−−−−−− Product(商品・サービス)
Cost(顧客コスト) ←−−−−−−−−−−−−−− Price(価格・プライシング)
Communication(コミュニケーション) ←−− Promotion(販促)
Convenience(利便性) ←−−−−−−−−−−− Place(流通・チャネル)
(1)Customer_value(顧客価値)
顧客の問題・課題をどのように解決するか、満足してくれるか等
消費行動する動機やライフスタイルなど
※ニーズ・ウォンツを充たす、その他(代替)の価値とは何か、等
(2)Cost(顧客コスト)
決断(消費行動)するまでの時間や移動などのトータルコスト等
(3)Communication(コミュニケーション)
プロモーションする方法、アフターサービスする手段など
コミュニティの構築等
(4)Convenience(利便性)
※提供する方法は?フォロー体制は?
※営業時間や連絡時間等
「4P」と「4C」の関係性を確認すると・・・
「4P」は、プロダクトアウト的であり、
「4C」は、マーケットイン的であると言えます。
※「プロダクトアウト、マーケットイン」については別ページ>>
「4C」は顧客目線であるため、「4P」は時代遅れであるとも言われていますが、
実際には「4P」自体も包括的なプロセスである、と考えることができます。
「4C」を重点にしている企業が増えているのも事実ですが、そもそも
「4P」と「4C」を別々に考えることは非合理的であり、
供給側と需要(顧客)側が相対関係である以上、「4P」と「4C」は
同時期に勘案することが必須であると考えています。
コトラー氏の共生マーケティング
それを総合的かつ包括的に、この時代にあったフレームワークとして、
コトラー氏が提唱する恊働(共生)マーケティングがあります。
(※「マーケティング3.0」参照)
その共生(供給側と需要側双方)マーケティング、又はコ・マーケティング視点での
「4C」の概念が、実はロバート・ローターボ-ン氏提唱の20年前(1972年)に、
早稲田大学商学研究科の修士論文に登場(提唱者:清水公一教授)しています。
その「4C」が、コトラー氏の「マーケティング3.0」に相当するとされているのです。
共生マーケティング・ミックス「4C」
(1)Commodity(商品・価値共創商品)
最初からコモディティ(価値共創商品)を作る戦略
(2)Cost(総合的コスト)
商品の価格(値段)や生産・販売コストだけでなく、
社会的コスト・環境的コスト等も含めた総合的なコスト
(3)Channel(流通経路)
簡単、明瞭、低コストの商品の流れが重要
リアルおよびネットとの融合等
(4)Communication(コミュニケーション)
インターナル・コミュニケーション、バイラル・口コミ、MIS等
売り手側のプロモーションのカテゴリーだけではない
さらに、
上記の「共生マーケティング・ミックス」(マーケティング3.0相当)の
フレームワークとして提唱されているのが、従来の「7P」に対した
『7Cs Compass Model 』です。
このナナシー・コンパスモデルについては、別記事で解説します。
参考:「4P」「4C」以外の方法
「5W2H」
「5W2H」は、「4P」「4C」以外の方法として、
よりシンプルに考えることができるフレームワークでしょう。
初めてビジネスを行なう方、あるいは個人事業かつ初心者の方は、
「5W2H」の概念が、分かりやすいかもしれません。
5W2Hとは、
5W・・・
Who(誰が), Whom(誰に), What(何を), When(いつ), Where(どこで)
2H・・・
How to(どのような方法で), How much(いくらで)
を現します。
そして、そこにもう一つ優先すべき重要なことが、Why(なぜ)です。
当方では「6W2H」を基本としてお伝えしています。
「Why」は、この時点ではなく、もっと前に設定しておく必要があります。
なぜなら、それが活動のための ”理由≠目的≠原点” にもなるからです。
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